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国際司法裁判所(ICJ)の岩沢雄司裁判官=2024年10月3日、オランダ・ハーグ、森岡みづほ撮影

 イスラエルの攻撃が続くパレスチナ自治区ガザをめぐり、国際司法裁判所(ICJ)は人道への配慮を一貫して求めてきた。どうすれば司法の判断を現実に反映できるのか。日本人で唯一のICJの裁判官、岩沢雄司氏に聞いた。

 ――ICJとはどのような組織でしょうか。

 「ワールドコート」ともいわれる、国連の主要な司法機関で、1945年に設立されました。前身は第1次世界大戦後に戦争の惨禍を受けてつくられた常設国際司法裁判所です。戦争犯罪などに関わった個人を裁く国際刑事裁判所(ICC)に対し、国家間の争いの解決を任務とします。

 国際社会は中央政府がなく、主権国家が併存する分権的な社会です。そこでは各国家が一定のルールに従って行動することが非常に重要です。ICJは国際法というルールを適用して判決を出すことで、「法の支配」の促進に貢献しています。

 例えば国境紛争など、国家間の訴訟について判決を下すほか、国連総会などの国際組織の求めに応じて「勧告的意見」も出します。国際法においては提訴には当事国の同意が必要なので、すべての国家間の紛争がICJに持ち込まれるわけではありません。

 ――どうやって審理されているのでしょうか。

 裁判所は、国連の選挙で選ばれ世界の主要文明を代表する15人の裁判官で構成されています。裁判官は書面や口頭で当事国から主張を聞いた後、6~9カ月間評議を行い、判決を練り上げます。勧告的意見については国際機関の主張も聞きます。判断には高い権威が認められていて、国際海洋法裁判所など他の国際裁判所で引用されることも少なくありません。

命令を守らないことのリスク

 ――ICJはロシアがウクライナに侵攻した直後の2022年3月に、ウクライナでの軍事行動を即時停止するよう命じる暫定措置命令を出しました。ガザをめぐっては、南アフリカがイスラエルをジェノサイド(集団殺害)条約違反だと提訴した訴訟で、人道配慮を求める暫定措置命令を3度出し、一部地域での攻撃停止命令にも踏み込みました。それでもイスラエルは戦闘を停止せず、犠牲者は増え続けています。暫定措置命令に実効性はありますか。

 暫定措置命令は、判決の前に…

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